2011-12-31

deep oceanは深海でいいのか?

今訳している本で、「サケは、川と "some thousands of kilometres away in the deep ocean" の間を行ったり来たりする」といったような感じの表現が出てきた。"deep ocean"は普通に訳せば「深海」だけれど、本当にそれでいいのか? じつは他の人が訳した部分で、「深海」という訳になっていたのだけれど。

「サケは深海には棲まないのでは」という疑問が私の頭をよぎる。ひとつの手は「(川と)何千キロも離れた海を行き来する」といったようにdeepの訳をサボること。これでも嘘ではないし、前後を見ても問題はなさそうだ。これが一番時間が節約できる方法。

だけれども、もしサケが深海で暮らすことがあるとしたら、"deep"が「訳抜け」ということになってしまう。

まずは、deepの意味をあたってみよう。たしか、「とても〜な」みたいな感じで使われたことがあるような気がした(これだと副詞的な感じだが、deepだから形容詞だとは思うけど)。

DictJugglerを使ってdeepを英英辞典を見ると"Far distant in time or space: deep in the past."とたしかに載っている。ということは上のようなサボった訳と同じにしても「誤訳」にはならなそうだ。deepのニュアンスは抜けてしまっていると言えなくもないが「何千キロも」にそのニュアンスは含まれていると言えなくもない。

ここで調査をやめてもいいのかもしれないが、気持ちが悪い。そこで、Google大明神にお伺いを立てる。サケを検索すると当然ながらWikipediaのページなど山ほどマッチする。サケの海での生活に関係しそうなところを見るが深海で暮らすと書いてあるものはどこにもない。海で暮らすことは皆さんご存じだろうが、海の上の方にいるのか、下の方にも行くのかなんて誰も気にしていないだろう。サケ稚魚の生態調査(5)降海期に於けるサケ稚魚の行動についてなどという論文が目にとまって、ちょっと読んでしまったりもする。

ああ、いくら時間があっても足りない。いつまでも調べているわけにもいかないし、原文を読んだときの第一印象も「このdeepは『深い』ではない」だったので、このあたりで切り上げることにしよう。

2011-12-30

ジュンク堂は心地よい

昨日、初めて吉祥寺のジュンク堂書店へ。今までは新宿まで行ったときについでに寄っていたのだけれど、吉祥寺にできたとなると、チョット行きたくなったらすぐにいける感じ。

ジュンク堂でなにが嬉しいかといって、しっかり本があるべきところに並んでいるということ。たとえば、我々の訳書でいうと『iPhoneアプリ設計の極意』はオライリーの棚にも、iPhone関係の棚にも、Mac関係の棚にもしっかり並んでいる。『ゲームストーミング』はオライリーの棚と、「SE読み物」の棚と、ビジネス書の棚といった具合。

平積みの『スティーブ・ジョブズ』(IとII)のそばにはもう5年以上前に出版された『アップル・コンフィデンシャル2.5J』(上下巻)も1冊ずつだけれどきちんと置いてあるし。

これが、新宿の○○書店などにいくと、もうめちゃめちゃ。種々雑多な本が、適当な順序に並んでいてわけがわからない。

カミさんによると、ジュンク堂では文学のところも同じだそうだ。きっとどの分野についてもきちんと分かっている人が並べているのだろう。

腰掛けて読めるイスは用意されているし、心地よい空間だな〜。Amazonで送料無料で買うのも楽でいいのだけれど、やっぱりジュンク堂でも買ってあげたくなってしまうのですよね。

2011-12-28

絶版は悲しい

スティーブ・ジョブズ氏がなくなってから、アップル関連本が売れている。私たちの訳した『アップル・コンフィデンシャル2.5J』 (アスペクト刊)も増刷になった。

悲しいかな、私が訳した『マッキントッシュ物語』(翔泳社刊)は絶版で増刷はない。『マッキントッシュ物語』は、その後復刊ドットコムで復刊されたほどだったのに、翔泳社は2回ぐらい増刷しただけであっさりと絶版にしてしまった。

『マッキントッシュ物語』は、少し前までAmazonなら何百円かで古本が入手できたのだが、ここへ来て古本がすべて売れてしまったらしくてとうとう「入手不可」になってしまった。絶版にしていなければ、あと何千部かは売れたのだろうに。何で? 

もっともこの本は印税ではなくて、最初1回だけの原稿料だったので、こちらのお財布には関係がないのだけれど。でも、読みたい人が(けっこう)いるはずなのに手に入らないというのは悲しい。

電子ブックだとこういうことはないのだけれど。

2011-12-25

メアドの代わりにIPアドレス使うってあり?

ありえないことが起こった。携帯で自分の出したメールが、知らない人に送られてしまったという。しかもそういう例が何百とか何千とかあったらしい。「そんなこと、どうやったら起こるの?」と思うのが(メールの仕組みについて少しは知っている)大多数のプログラマーの感想ではないだろうか。ほかの人に送るのは結構大変そうな気がするのだが。どうやってメアドを選んで送ったんだろう?

届かないことは(たまには)あるかもしれない。それはまあ、プログラマー仲間としては、「かわいそうに。バグがはいっちゃったのね」と同情したくもなる。

2、3日そんな疑問をかかえていたら、原因が公表された。IPアドレスとメアドとを結びつけていて、異なる時刻にたまたま同じIPアドレスで接続した携帯のメアドと「混線」してしまったということらしい。送った人のメアドではなくて、同じIPアドレスを使った別の人が送ったということになってしまった。それで、そのメールに返信してしまうと、まったく知らない人に送られてしまうことになった。

「ええー、そんなプログラム書いていいの? そんな設計って、ありえなくない?」。単純に危うすぎるって思うのが普通の感覚だと思うのだけれど。

簡単に言ってしまうと「近道」しちゃいけないところを近道してしまっているということだと思うけど。途中の経路が変わってしまうかもしれないのに、途中をたどるのをすっ飛ばして(昔は有効だった)近道をたどるわけで、危なすぎるって思わなかったのかな〜。

自社のネットワーク内だからIPアドレスで代用できると思ったのかな。 ところがどっこい処理能力が足りなくなってしまって想定外の事態が起きたということか。いや〜、危なすぎるでしょう。本来仮定してはいけないことを仮定していたような気がする。

原点に立ち返って安全第一でいかないと。バグの原因になりそうなことは極力避ける。想定していないことをやってしまうのが人間だし、想定していないことが起きるのがこの世の常ですからね。今年ほどそれを感じた年はなかったのだから。(自戒を込めて)

2011-12-22

『Androidアプリ開発入門』発売

Androidアプリ開発入門』発売されました! 弊社初のAndroid関連本です。サポートページはこちらからどうぞ。

数ヵ月前に、ピアソン桐原の方からご連絡をいただきました。候補としてAndroid関連とiPhone関連の本をご呈示いただいたのですが、私自身は手一杯でお引き受けできなかったので、弊社で一緒に翻訳をしてくれている阿部と上西が翻訳、私がチェックに回って監訳ということでお引き受けしました。iPhone関連はオライリー・ジャパンで何冊か出版させていただいているので、さすがに避けさせていただいて、Android関連を選択しました。

iPhoneとAndroidの開発環境の違いが(実際に体験して感覚として)わかって面白かったですね。簡単にまとめると次のようなところでしょうか。

  • (私のような)以前からのUnix/LinuxユーザーにはAndroid開発のほうが心地よさそう
  • Androidのほうがオープン
  • Androidの開発のほうが敷居が低いと感じる人が多そう(もちろんプログラミングの経験があることを前提にしてですが)
  • 使い勝手と美しさにはiPhoneに一日の長がある感じ

この本の内容はといいますと、基本的な内容を、ていねいに解説しています。 最新の機能を知りたい方にはまったく向いていませんが、バージョンが変わっても使える基本がしっかりと説明されているというところだと思います。

例によって、アプリを日本語化するのにだいぶ時間と神経を使いましたが、日本語版も動くようになりました。サポートページからダウンロードできますのでどうぞ。


「会社名に様等の敬称を付けるのは、正しい日本語ではない」という翻訳の先輩の教えを尊重して、私も付けないことにしておりますので、気になさった方、悪しからずご了承ください。


2011-10-13

いい脚してますね〜

タイトルをご覧になって何を想像なさったかは知りませんが、野球解説者の木俣さんがヤクルトの上田選手の盗塁についてコメントしたときの言葉でした。

しかし、中日との首位決戦で4つ全部負けるとは……。石川も館山も、前回に続いて2回連続で中日に負けるとは。中日にマジック4、点灯。

今年のヤクルトは想像を絶するパフォーマンスを見せてくれております(オリックスも似たような「上下動」を繰り返していますが、ヤクルトは首位だから余計目立ちますワナ)。


ハタケ&ヤクルト 絶不調


この4連戦のヤクルトの収穫って、上田ぐらいかな〜。実は、この上田選手を上田(長野県上田市)に帰省したときに見たことがあるのです。3年ほど前の旧盆の前後だったと思うのですが、ヤクルト対信濃グランセローズの「交流戦」を上田の球場でやっていたので、息子と見に行ったのです。このときヤクルトの1番バッターが上田だったような気がします。試合はヤクルトの完勝でした。

あの、真っ黒に日焼けした顔。私の郷里と同じ名前だし、応援しよっと。

To be, or not to be, that is the question:


英語学習者ならほとんどの人がご存じのフレーズ。そしてベテラン翻訳者なら、まず間違いなくシェイクスピアの文が引用されている本や記事を訳されたことがあるでしょう。

あまりに有名な文なので、この文が引用されているときは自分が改めて翻訳するわけにもいかず、どなたか著名な方の訳を引用させていただくことになります。私は今まででしたら、小田島雄志訳を引用しておりました。

今、校正作業中の本(今年中には出版されると思います)でもこの文が引用されていたのですが、翻訳を手伝ってくださった方が、別の訳者の訳を選んでいたのです。

「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」(シェイクスピア著『ハムレット』河合祥一郎訳、角川文庫)

ちなみに、小田島雄志訳は次のようになっております。

 「このままでいいのか、いけないのか、それが問題だ。」(シェイクスピア著『ハムレット』小田島雄志訳、白水社)

ゲラ(校正紙)を前にして、私も悩みました ── 「このままでいいのか、いけないのか、それが問題だ。」

で、最終的にどうしたかといいますと、河合祥一郎訳のママにしました。なぜ著名な小田島雄志訳にしなかったのか。その理由は……。まだ出版前で、前後の部分を公開できませんので、しばらくお待ちください。

どの訳を引用するのがよいのかを訳の良し悪しという観点だけではなく判断することになるとは、この本を訳すまで思ったことがありませんでした。(中途半端ですみません。しばらくお待ちを)。

2011-10-11

Steve Jobs


○○様

マーリンアームズ武舎広幸です。おはようございます。

○○さんもMan Fanでらしたんですね(^_^)

私は1986年にMac Plusに出会って以来、ずっとMacを使っています。(つきあっている期間は、ほぼカミさんと同じですね(笑))。

前は、仕事でどうしてもWindows機が必要だったのですが、最近では、Macの中でWindowsを動かせるようになったので、弊社にはWindows機は1台もなくなりました。

Jobsの他界はすでに私の心の中で「織り込み済み」だったせいか、あまり悲しくはなりませんでした。時間の問題と見られていましたから。(先日、山岡洋一さんという翻訳の先輩が60代前半で心筋梗塞で亡くなったときはあまりに突然だったので、とてもビックリしてとてもショックでした...)。

Jobsは数年前から手術を受けていたのでもう覚悟をしていたのだと思います。だから憑かれたようにすばらしい仕事ができたのかもしれないなとも思います。

1994年に『Macintosh物語』という本を訳したのですが、その作者がMacのことを「今世紀(20世紀)後半 最高の製品はこれだ!!!」と書いていました。この本の中に「アーティストは製品を出荷するのだ」(拙訳)という文が出てくるのですが、Jobsはアーティストだったのですよね、結局のところ。MacからiPhone、iPadまですばらしい芸術作品を残したのです。単なる工業製品ではなく芸術作品だから多くの人の心に残るのでしょう。だから、尾崎豊やZARDのボーカルのお葬式にたくさんの人が参列したように、アップルストアに献花する人がたくさんいるのだと思います。

(○○さんの幻想を壊すのは申し訳ないような気もしますが)先日のApple Storeの前の人だかりは、多分Jobsの遺作である iPhone 4S の予約待ちの行列に並んだ人が多かったのではないかと思います。でも、考えてみれば、iPhoneの為に並ぶのも、献花するのもあまり変わらないですよね。JobsやJobsの作った製品に魅了された人々なのですよね。

(ひとつ違いのJobsに負けないようにがんばろうっと)

2011-10-06

Jobs去って本が売れる

毎日Amazonの自分たちの著訳書の売れ行きを確認しているのですが、アップル関連本(アップル・コンフィデンシャル2.5J(上・下)マッキントッシュ物語)が急に売れ出しました。なんとまあ影響力の大きな人であることよ。

最近Jobs関連本を翻訳なさっている井口耕二さんの本の順位を見たら、どひぇ〜、1位と2位と14位と28位と162位と……。井口さん、おめでとうございます。今度会ったらおごってください(笑)。

さようならSteve Jobs

新しいiPhoneを発表したら、すぐに亡くなってしまうなんて……

でも幸せな一生かもしれませんね。絶望的な状況から這い上がって、世界中の人から注目される会社を作り上げたのですから。劇的な人生だな〜。

(日本時間)昨日のiPhone 4Sの発表で出てきたSiriを見たら、スカリーを思い出しました。名前を忘れてしまったけれど、「○○アシスタント」とかいう携帯端末に女性の顔が出てきて、同じような「秘書役」をしていました。スカリーはどこに行ったのかな〜。「砂糖水を一生売り続けるつもりか」とJobsに言われてアップルに加わり、ジョブズを追い出して、自らもアップルを追い出された。Jobsほどではないけれど劇的な人生ではありますね。

時は流れ人は去り、それでも人の営みは続く。それが、何度も何度も繰り返されてきたのですね。


2011-09-16

ハタケ&ヤクルト絶好調  その2

5月の連休の頃ハタケ&ヤクルト絶好調 という日記を書いたのですが、再び同じタイトルで記事を書くときがやって参りました。

なんと、ハタケ(東京ヤクルトスワローズの畠山選手)は4試合連続2ランホームランを打っております。すべて2ランです。これはひょっとして新記録ではないでしょうか。

巷ではMVP候補の声が……。競争相手は誰? 好不調の波が大きいバレンティンはありえないし、館山は少し休んでしまったから、ちょっと印象薄いし、他にいない! う〜ん、4月の月間MVPのときは、宮本に「彼はこれからもチャンスがあるでしょう」と言われてしまったけど、今度はそうは言わせない!


2011-09-05

「その曲のなすがままにされ、その曲に取り憑かれてしまわなければ」

今、弊社で翻訳中のある音楽家に関する文書でこんな表現が出てきました。あるピアニストの演奏の様子をそのピアニストにインタビューした著者がこんな風に表現していました。

う〜ん、そうか音楽家も「曲に取り憑かれるんだな〜」と思った次第。翻訳しているとき原著者に取り憑かれることがあるのだけれど。

本当は、取り憑かれそうな本だけを訳さないといけないのかもしれないけど、「売れそうか」といった邪念が入ってしまうのは、まあ仕方がないのかな〜。

2011-08-30

翻訳という仕事は体と心にキツい ― 山岡洋一さんとのお別れ

先週末、翻訳の大先輩、山岡洋一さんのお葬式。

山岡洋一さんに最初にお目にかかったのは24年ほど前のこと。どういう経緯だったかは忘れてしまったが、当時家内(武舎るみ)の勤務していた翻訳会社で(家内の)上司だった山岡さんと、翻訳ソフトについて少しお話をさせていただいた。

次にお目にかかったのは、それから20年以上たってから。何度かメールや電話でやり取りをして、Dictjuggler.netで『翻訳訳語辞典』や『経済・金融訳語辞典』を公開させていただいてから、2年ほど立っていた。ノンフィクション翻訳関係者の忘年会というのがあって、その席でチラとお話をさせていただいた(山岡さんは主催者側でとても忙しそうにしていらした)。

三度目は去年の春だったか。「DictJuggler.netについて話がしたい」みたいなことだったと思うのだが、なぜか、家内にも会いたいとおっしゃって、我が家にいらしていただいた。この間、ほかの方にうかがったところによると、この前年に病気をなさったようで、「少し虫の知らせ」みたいなものがあったのだろうか。

息子が帰ってきて、軽くあいさつをしたら、嬉しそうな顔をなさって、あいさつを返してくださった。『きっと、ご自分のお子さんもかわいがっていらっしゃるんだろうなあ』と思われた。

そして、今となっては「最後」になってしまったのが、去年の秋の『翻訳通信』の100号記念パーティの席。10年後ぐらいの200号記念パーティまでは現役で行きたいというようなことをおっしゃっていたのに。

翻訳という仕事はきつい

プログラミングと翻訳を比べると、圧倒的に翻訳がきつい! 精神的にきつい。プログラミングのように、「ダダ〜ッ」といくことができない。いつも常に「ちまちま」と、少しずつ、一歩ずつ進まねばならない。一語一語、一頁一頁、進まなければならない。

物理的にはプログラミングも翻訳を同じくらいきつい。目は疲れるし、肩は凝る。腰も痛くなる。 ずっとコンピュータの前で過ごさなければならない。

私が去年、翻訳教室で教えたとき生徒さんにこう言った。

「翻訳者に一番必要なものはなんだかわかりますか? 英語力? 日本語力?」
「いや実は一番必要なのは、体力と精神力なのですよ」

数年前、私の大学の先輩の翻訳者の女性の方も、突然他界されてしまったことがあった( 詳しくはこちら)。

幸運なことに、私はこれぞと思う健康法に出会った。相変わらず目は疲れるし、肩は凝るが以前よりはるかにましになった。自分の体の状態を以前よりはるかに明確に把握できるようになった。山岡さんもやっていればよかったのに。 皆さんにこの健康法を広めるときがもうじき来るのかな〜。もう、その時なのかな〜と思う、今日この頃。

ご冥福をお祈りいたします。これからも、天国から我々に「カツ」を入れてください。(グスン...)

2011-07-04

そうめんのタレと達人の感覚

今日は暑かった。そこで、そうめんを食べた。胡桃(くるみ)があったので、胡桃ダレのそうめんにしようということになった。

カミさんが私の実家に行ったとき母がよく作ってくれたものだ。母は認知症になってしまったので、もはや作ってもらうこともなくなってしまった「秘伝のレシピ」だ。

じつはうちではこのタレがまだうまくできたことがない。どうもうまく行かないので、「手伝ってくれ」と言われて手伝った。胡桃の実をすり鉢にいれ、少しすりつぶす。

「たしか、ダシを入れながらまぜてたぜ」。すりこぎを回しているうちに、幼い頃お袋の手伝いをしたときに感覚がよみがえってきた。当時は、母がすりこぎを回して私はすり鉢を押さえていたのだが、今日は私が回している。

家内お手製の八方だしを少し水で薄め、まずはカップ1杯ほどドバッとすり鉢に入れる。

さらにすりこぎを回してすりつぶす。

「まだ、足りないなあ。もうちょっといれて」

家内は、もう一度八方だしをカップに入れ、水を加えて、いきなりカップ一杯全部をすり鉢に「ジャー」とあけた。

その瞬間、私の頭の中を何かが「サ〜っ」とおり過ぎるような感覚がした。

「これはまずい」

なぜ、まずいか。明らかに水分が多すぎるのだ。限界を超えてしまったと私のカラダが感じたのだ。

すりこぎを回しているうちに、昔の感覚がよみがえってきて、お袋がダシを入れては回し、入れては回し、少しずつ少しずつダシを加えていたことを思い出してきた(ような気がした)。

「もっと、粘りけが出てこないと行けない。それには、少しずつ少しずつダシを加えていくんだ」

胡桃ダレに関して、私はもちろん達人ではないのだけれど、昔達人のそばで「修行」をしていたことがあったわけで、少しは達人の感覚が「移って」いたのかもしれない。達人の感覚とはこのように「何となく感じる」種類のものであることが多いのだと思う。


明らかに薄くなりすぎてはしまったものの(もう胡桃はなかったので胡桃を足すことはできなかった)、そこそこおいしくはあった胡桃ダレのそうめんであった。

やってみないと分からないことは多いのよ

私は機械翻訳ソフトを作ろうとしていて、人間翻訳を始めたのだけれど、その理由のひとつが「実際にやってみないとわからんことは多い」ということを感じている(いた)からのような気がする。翻訳ソフトを作っていた(いる)人の多くは翻訳者ではないわけで、翻訳とは何か、感覚的には知らない。そこに違いが出ると思っているのだけれど。

2011-06-05

星野さん、お客さんに失礼じゃない?

今日、ヤクルト—楽天戦がありました。4回裏だったか、ヤクルトが10点ぐらい入れました。

この回に10点取られる間、楽天星野監督は何人のピッチャーを投げさせたでしょうか

  1. 1人
  2. 2人
  3. 4人
  4. 3人
  5. 5人

なんと、正解は1. の1人です。 星野監督は、はや、4回にして試合を捨ててしまったのです。 ヤクルトのピッチャーも早々3回ぐらいで交代して、二人目増淵も先頭バッターを連続して出していました。 最終的には13対5だったのですが、安打数は両軍とも18本。

5回表の攻撃では、松井稼頭央も山崎もヒットを打ちましたが、代走を出されました。

星野さん、お客さんに失礼じゃありません? 

2011-06-04

『iPhoneアプリ設計の極意』まもなく発売

まもなく『iPhoneアプリ設計の極意――思わずタップしたくなるアプリのデザイン』が発売されます。

「この本は面白い!」と、言いましても、基本的には面白いとか、役に立つとか思う本だけをを訳させていただくことにしているのですが、「この本はとくに面白かった」のです。

皆さんが、面白いと思われるかはこちらをクリックしてサポートページを開いてサンプルをご覧になってご判断ください。7章全体をご覧いただけます。

じつはこの7章、私が一番気に入っている章なのです。面白いし、開発者でなくても全部理解できると思うし、なにより登場するアイコンがとてもきれいなのです。

「こんなアイコンをもつ自作のアプリを並べたいなあ」と思ったのでした。

ところで、Mac用のアプリを売っているApp Storeには、最近DictJugglerという私の会社のアプリが並びました。Kさんがデザインしてくれたアイコンはけっこう美しいと思いますよ。よろしかったら、ご覧あれ。→ ここをクリックするとApp Storeのページが開きます

2011-05-03

ハタケ&ヤクルト絶好調

 ヤクルトスワローズの畠山選手が好きです。あの長いもみあげが何ともいえません。あのいかつい顔つきがたまらなく魅力的です。そして、時々ぶっ放す豪快なホームランが何ともいえず待ち遠しい。3年ぐらい前に、「一番年俸の安い4番打者」で話題になりましたが、今年は「9回、じゃなくて球界を代表する4番打者」になりそうな予感。

その畠山が現在絶好調。というわけで、神宮球場に応援に行ってきました。

今日の神宮球場はあいにく雨模様。途中から激しくふってしまい、軟弱な我々はまだ同点だったにもかかわらず帰宅してしまいました。でも絶好調のヤクルトは帰る途中できちんと勝ち越していてくれました。途中で経過を見ながら帰りましたが、昔は家に帰ってスポーツニュースでも見ないと確認できなかったのですが、ネットがあればいつでも確認できて、便利といえば便利。

今日のハタケも絶好調。勝ち越しタイムリーを打ちました!