訳注は前世紀の遺物である。学者が、片手間に翻訳をしていた時代の名残である。
訳注で説明するくらいならば本文に織り込め。原著者が注にしてあるのならばともかく、注をつけて説明するのはナンセンスである。それは「翻訳」ではない。
翻訳書とて、独立した作品である。本文を読んで完結していなければならない。
翻訳はサービス業である。小説の翻訳ならば、読者に最高のエンタテインメントを提供するのが翻訳者の役目である。訳注を読まなければわからないような文章は、エンタテインメントとしては失格である。小説やノンフィクションの翻訳については、20世紀のうちに、どうやらこれが「標準」となったようだ。
だが、技術書とて同様である。読者に最高の「知識体験」を提供するのが技術書の翻訳者の役目である。わざわざ欄外を見て説明を読まなければわからないようなものは、翻訳としては失格である。
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