2009-12-15

「○○ち」と「○○こ」はどっちが固い

むかしむかし、あるところに、ひとりの少年が住んでいました。その少年の家では一匹のヤギを飼っていました。少年は学校が休みになると、父親からヤギの世話をする役目を仰せつかりました。ヤギを小屋から連れ出して、草の生えている道や原っぱに連れて行って草を食べさせてやるのです。少年の体重はヤギの半分以下でしたから,なかなか大変です。無理矢理引っ張ってもなかなか動いてくれません。それでも,ひもを思いっきり引っ張ったり,兄に教わったように体ごとヤギを押すように誘導したりしてなんとかいつもの道を往復していました。

ヤギは春になると子供を生みます。少年の家のヤギは毎年春休みの終わり頃になると、かわいい子ヤギを2匹ぐらい生みました。人間の子供は生まれてから1年もたたないと立ちません。この1年間はとっても手間がかかります。まあ,この1年間が何とも言えずかわいい時期ではあるのですけれど。それに比べて,ヤギの子供は生まれて1日もしないうちに歩き出します。子ヤギが生まれると,親ヤギを連れ出すのは楽チンになります。なぜかというと,かわいくて小さい子ヤギを腕で抱えて動かせば,自然に母ヤギもついてくるからです。少年が大きくなって父親になり,自分の息子を抱いたとき,ちょっぴり子ヤギのことを思い出したりもしたのでした。

ヤギを散歩に連れて行くとちょっと困ったことが起こることがあります。ヤギのおしりから固形物が、小さめのビー玉のような黒い固形物が落ちてくることがあるのです。少年が小さかった頃は、道路が舗装されていませんでしたら、あまり程目立ちませんでした。1日もたつと土と同化してしまったのです。少年が少し大きくなった頃に道路が舗装されて、ヤギから落ちた固形物が道路上をころころと転がって、何日も残っているようになりました。

少年が成長して一人の息子の親になりました。ある日のことです、朝食を終わった息子が「○○こに行ってくる」と言ってトイレに駆け込みました。その瞬間、元少年の頭の中にちょっと固めのコロコロの物体のイメージが広がりました。

「『○○こ』って『○○ち』より固い感じするよね」と家内に尋ねます。
「そうよ。前から言ってるジャン」
「えー、そんなこと言ったっけ?」
「アレー、まだ言ってなかったっけ? 汚い話が大好きなAちゃんと高校時代にさんざん議論したんよ。」

そうこうしているうちに、息子がトイレから出てきて言いました。
「○○ちじゃなくて、○○こだった」

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